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近代化

▶ごみの収集と機械化

昭和30年ころのごみ収集は台所から出される厨芥と、座敷や庭などを掃除して出される雑芥との分別収集が中心に行われていました。
厨芥は振鈴を合図に各家庭から持出したごみを作業員が収集車に積込み、雑芥は各戸に備え付けられたごみ箱から収集車に積込んでいました。
長い間、手車で行われてきたごみ収集は、ごみの急増や経済成長による求人難で十分な人手の確保が難しくなり、昭和30年には牛馬車で運搬していたものが自動車による直接収集に変わるようになり、また狭小路地の収集には小型トレーラーを導入しました。
昭和26年にはロードパッカー車を試験的に導入しましたが、小型自動車による収集は全収集量の15%程度で鉄製有蓋車や圧縮装置を装備した収集車の数は少なかった。


パックオール車


ロードパッカー車

都は昭和33年から「塵芥収集作業機械化5か年計画」として全面的な切替えを進めました。
昭和33年パックオール、昭和34年パックマスターといった密閉式で自動排出装置を架装したごみ収集車を採用。また「親子式作業方式」が特別区全域で開始。これは処分場までの遠距離運搬を担当する大型車(親車)1台と各戸からのごみを収集する小型車(子車)3台を一組として行う作業で、小型車が収集したごみを路上で大型車に積替え、大型車が処分地まで往復する間に小型車が繰返しごみの収集作業を行うことができました。

▶し尿収集と機械化

し尿についても、昭和29年くみ取り作業機械化の試みとして小型吸上車(バキュームカー)5台を導入。その結果、労力の節減、作業中の臭気減少、ふん尿桶の路上積置きが不要になり労働環境・環境衛生においても多くの利点が確認され、収集経費も従来に比べて20~25%もの節減になりました。
しかし、昭和32年の時点で吸上車(バキュームカー)による収集は、作業全体の30%程度で、残りは桶とひしゃくによる手作業で機械化の必要性がいっきに高まってきました。

都は昭和32年を初年度とする「し尿収集作業機械化5か年計画」を策定し、それまで人力が中心だった収集作業の全面的な機械化を開始しました。
この5か年計画では吸上車を都内全域に配置して作業効率と衛生の向上をはかりました。また遠距離輸送対策としては親子作業方式の他に地下密閉式貯留槽を杉並、世田谷、練馬の各区内に設置し、そこを中継槽として、親車と子車とが出会うまでの待機時間を省いて作業効率の向上をはかりました。
当時、吸上車の回数は月2回だったが、実情に応じて収集間隔を縮めたり特別な事情で住民から要請があった場合も敏速な対応ができるようになり機械化による行政サービスの向上も実現されました。

▶清掃工場と夢の島

昭和32年「焼却場建設10か年計画」が策定されました。
この計画に基づいた最初の清掃工場が第五清掃工場で、千歳清掃工場とともにごみ処理を担う工場として期待されたが、第五清掃工場につづく多摩川清掃工場、板橋清掃工場の建設は地元住民の反対にあって建設の着手が遅れるなど、「焼却場建設10か年計画」は予定通りには進みませんでした。
「ごみ焼却場」は「清掃工場」と改称され、ごみの質の変化への技術的対応、公害防止対策、地域との調和など清掃工場建設の前提条件となり、清掃事業とごみ処理施設をとりまく社会的な変化に対応し、ごみ処理に対する新たな取組みと技術革新への展望とを表現したものでした。


地元住民による清掃工場建設反対運動


夢の島

「夢の島」は昭和14年に埋立処分場としてごみの搬入が開始されました。昭和32年のごみ最終処分の内訳は焼却8.4%、家畜飼料としての利用7.8%、残りの83.8%が埋立処分でした。当時、埋立処分には内陸埋立と海面埋立があり、もっとも大きな役割を占めたのは8号地処分場での海面埋立でしたが、8号地での埋立も終了を間近に控え最終処分を「夢の島」に依存する度合いは高まっていきました。

▶リ-ブマン報告と清掃事業

昭和35年、ニューヨーク市・清掃局次長へンリ-・リ-ブマンが来日。
収集、運搬、処理、処分の全てを視察し清掃事業の基本的あり方、考え方、収集作業や清掃工場の技術的なアドバイスをおこないました。

問題点として
・厨芥・雑芥の分別収集と手作業によるごみ収集作業
・建築現場、道路や店先でのごみの散乱
・作業員の待遇
が指摘され以上の改善策として機械化の促進、労働安全衛生体制の整備、作業員の待遇改善による意識改革を行い、また清掃事業の遂行には市民の協力を得る事がもっとも重要であるとし、そのためにはマスコミの協力、学校教育、市民による協力委員会の設置が必要であると述べました。

清掃事業の近代化とは機械化だけを言うのではない、というのがリ-ブマンの提言の核心であったといえる。システムとしての清掃事業の近代化を求めたこの提言は、機械化を押し進めていた東京の清掃事業に一石を投じました。


清掃事業の歴史|各時代

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